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天丼 琥珀

ブランドストーリーは、フランチャイズブランドの誕生秘話を主に語っていただきます。シンガポールから現在、日本に逆輸入され成功を納めています「天丼琥珀」の代表である白石さんにお話を伺いました。
中西:白石さん、ご無沙汰しています。私も実は6年前のシンガポールのフランチャイズショーではじめて、「天丼琥珀」が展示されているのを拝見したんです。その際は、シンガポール発の日本食ってユニークだなと思っておりました。
白石:天丼は、シンガポールの「天丼琥珀」では天丼一杯を15SGD、日本円で1200円くらいでご提供させて頂いております。当時、シンガポールでは、天ぷら自体は高級店が数店舗ある程度で、天丼のような専門店はありませんでした。最初は私は「天丼琥珀」というブランドをフランチャイズで各国に広めるサポート部隊にいたのですが、シンガポ ール直営店1号店であの長蛇の列を観たときに、天丼という商品や「天丼琥珀」というブランドに対する強い期待から、これは海外で通用するという確固たる確信に気持ちが変わりました。現在も、直営各店は安定的な売上を保っています。 気軽にリーズナブルに天ぷらを体験頂くためには、やはり天丼というスタイルを中心に展開し続ける事にこだわり、ファーストフードに寄りすぎず、世界中に日本の食文化のひとつ である天丼を広めるために現在のパッケージに至りました。
こだわりは、衣・たれ・食材・米・油ですが、それに加えて国ごとの個性を非常に大切にしています。
寿司、天ぷら、ラーメンを知っている方々は世界でも沢山いますが、天丼を楽しんだ経験を持つ方は、世界レベルではまだまだ少ない状況です。
中西:琥珀の天丼は、いわゆる日本の典型的な天丼と違いがあるのでしょうか。
白石:衣がまったく違います。日本の天ぷらは衣が薄く素材の味を楽しむのが美徳ですし、それは職人さんが揚げたてを一品一品目の前で提供してくださる高級店ならでは。シンガポールの方々は、普段の食事でも、比較的のんびりとゆっくり召し上がります。30分以上かけて召し上がる方も多くて、「天丼琥珀」では、時間が経っても衣に水分を含みすぎない食感を大切にし、カリカリ感があるように仕上げました。琥珀天丼の衣はフリッターに近いかもしれませんね。
またシンガポール国民は、ヘルシー志向も強く、あまり油を吸わないような工夫もしています。ブランドのポジショニングとしては、カジュアル店とこだわり店の間を意識しています。
知人の日本人シェフに琥珀天丼を試食してもらった際に、「これは天丼ではない」と言われたときに、「やった!この味が海外のお客様に受けているのなら、世界に通用する業態として挑戦できる」と逆に確信しました(笑)
中西:「天丼琥珀」のメニュー写真を拝見していますと、かなりカラフルですね。わたしはクールと思っていますが、いろいろな創意工夫を感じます。
白石:パッケージの中のメニュー開発にもかなり、こだわりを持っています。私はフランチャイズの世界に入って25年になりますが、「天丼琥珀」は、フランチャイズで展開でき、且つ世界中に拡げることができるビジネスモデルだと考えています。えびなどはベトナムから仕入れていますが、基本的に食材は現地調達で行っています。
また、メニューは3つのメニュー構成で成り立っているのも特徴といえます。
1つは天丼のバリエーション、2つ目は日本の四季を感じることのできる季節天丼メニューで、こちらは季節ごとに我々本部が開発したレシピを各国に送ります。3つ目はフランチャイジーの方が独自で考えて頂くローカライズメニューです。また、シンガポールのメニューには黒トリュフを使ったユニークな天丼もあったり、タレはオリジナルとスバイシータレの2種類から選んで頂いたり、と老舗天丼屋の既成概念から外れることで、世界の天丼を知らない方々に、まず天丼を知っていただくことが私のミッションだと考えています。
中西:まず海外からお店を増やし、去年東京に上陸された感じですが、いまの状況はどんな感じでしょうか。さらに今後の抱負もお聞かせくださいますでしょうか。
白石:実は繁華街に出しても売れないこともありました。 東京は日本橋に1号店を出店しました。今後は、海外と同様、日本でもパートナーを増やしていきます。現在、シンガポールに4店舗、マレーシアに2店舗、フィリピンに3店舗、カナダに2店舗琥珀があります。どの店も各国のコロナ禍における規制で苦戦をしいれらましたが、その後、数字は順調に回復してきています。日本の1号店も売上は好調ですが、オフィス街立地という事もあり、他国と比較するとまだまだ伸びしろがある、と言えますね(笑)
「天丼琥珀」の海外のお店のスタッフには一人も日本人がいない状況ですが、オペレーションがパッケージ化されているため、味もサービスもぶれずにご提供できています。
まずは、世界中の方々に琥珀を通して、天丼の味を知っていただき、さらなる 興味を持っていただくことを一番に考えています。 「天丼琥珀」のブランドポリシーは、「Tendon to the World(天丼を世界へ)」です。
編集後記
白石さんとのインタビューの1時間はあっと言う間に過ぎました。
少年のように天丼について熱く語る白石さんの姿に、「世界中に天丼ファンが溢れたら、どうなるんだろう」と熱く思ってしまいました。これからの「天丼琥珀」の世界制覇が楽しみです。
(記:リカ中西)