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鶏笑

鶏笑を生んだ株式会社NISの代表取締役の名越清幸氏に誕生から今後の展望をお聞きしました。 海外から問い合わせがあるまでは、ノーマークでしたが、非常に面白い対談でした。
中西:鶏笑さんとの出会いは海外からの照会です。 香港のフランチャイズコーディネーターから「是非とも鶏笑を調べて欲しい。このブランドをフランチャイズジャパンさんは知っていますか。投資家に紹介したい。」という内容でした。 申し訳ありませんが、私はその問い合わせが入るまで地元大阪で、フランチャイズ本部である鶏笑さんの存在を知らなかったのです。失礼しました。この「鶏で笑う」というネーミングが中華系の方にはわかりやすくて凄く良いのでしょうね。
名越:そうでしたか。 私たちは、この4年で150店近くになった唐揚げ専門のフランチャイザーです。 フランチャイズの大手広告サイトなどにもブランド名を出していますが、それも最近のことです。
中西:名越社長とお話していると、肩に力が入っていなくて凄く自然体だなと思います。
名越:わたしたちは結構、ゆっくりこのビジネスを育ててきました。 10年前に、大分の中津にいつもさばけない位の行列を作っている唐揚げ専門店を友人が経営していました。「唐揚通りと言われる位、唐揚げ専門店が密集しているエリアで、何故そんな繁盛店ができるのだろう」と、好奇心に駆られとにかく私は行ってみました。 そうしたら、本当に凄い行列でした。中津という小さな町の中で40軒くらい唐揚げ専門店がありました。 勿論、他の唐揚げ店にも行ってみましたが、ダントツで友人のお店が美味しかったのです。 また売り上げも他のお店の2倍くらいは上げていました。 お店が小綺麗だったことも印象的でした。 これは凄い!と思い、当時浦和に会社があったので、そこの近くでまずは一店舗目をスタートしました。
中西:その時はどんなお仕事をされていましたか。
名越:リサイクルや福祉の業界で会社経営しておりました。 最初は、副業感覚で社員にお任せだったのですが、ゆっくりゆっくり売り上げが上がっていきました。ある日、ちゃんと売り上げ表を見て「これはちゃんとビジネスとして、見ないといけない!」と、感じました。 とにかく「胸肉の唐揚げ」が美味しいのです。通常は、もも肉が美味しいのは当たり前なのです。胸肉は2日間、秘伝のタレにつけ込みます。 友人のオーナーがとくかく研究熱心で、タレの成分にこだわって改良を続けた結果、いまの味に至りました。 弊社は開業支援企業ですから、加盟検討者の方にはまずは100の説明より試食していただき、現場のオペレーションを見学していただきます。
中西:はい! 実は私も東大阪の吉田店に行ってみました。 目からウロコだったのが、周りの交通の便の悪さでした(笑) 車しか通らない、駐車場もないお店。 これが繁盛優良店舗ですか!?という立地でしたが、土曜日が一番売れる日らしいですね。 またスタッフのローテーションの効率の良さや居抜きで小さな資本で開業できることも、もちろんその美味しさにも感動しました。
名越:実は繁華街に出しても売れないこともありました。 現在、唐揚げは国民食なのです。 この優良店の加盟オーナーは半年で1店舗目の投資費用を回収し、2店舗目を出店しました。 フランチャイズの基本である素人でもできる、簡単なオペレーション、美味しい、二等や三等立地でも採算があうということが弊社のビジネスモデルの特徴です。
中西:確かにそうですね。 お昼間は女性ばかりで回転できるモデルは、私も加盟開発の観点ではまわりにおすすめしやすいです。最初の大阪店は、奥さまが運営されていたのですか。
名越:はい。最初は家内が運営しておりました。 埼玉のお店も口コミで広がっていきました。 宣伝ではなく、常連さんや友人が「美味しいから私もさせて」という声が多かったのでフランチャイズ形式にしました。 最初の3〜4年は少しづつ売り上げが上がっていくという感じで、その後30店くらいまでは、中々知名度もなかったですし、50店くらいまでは本当にゆっくりでした。 それを超えてからは早かったと思います。
中西:口コミとは、理想的ですね。ポイントはどんな点でしょうか。
名越:胸肉は48時間、もも肉は24時間秘伝のタレにつけ込み揚げるだけのシンプルなことを繰り返しています。 私たちは、メニュー開発もあまりしないですし、いまの数点のメニューが一番美味しいし、やはり売れています。 油も唐揚げに合うブランドを採用しています。弁当の米も最近は佐賀米を指定していますが、あまりガチガチでないルールにしていました。テイクアウト中心ですが、バルにされているお店もあります。 私たちのモデルは地域密着型/住宅街モデルで、都会モデルではないとおもっています。 最近の主婦の方は、家で揚げ物をしない方も増えていますし、「出かけた時に買って帰るお惣菜」というポジションなのでしょう。
中西:苦労された点はどんな点でしょうか。
名越:実は苦労したという意識はまったくないです。 振り返るとラッキーなことが多かったです。 勿論、フランチャイジーの中には上手くいかず退店も過去ありましたが、全体で1割ですから数値としては低いとおもっています。接客に関しては本部が勿論研修を開催しています。他業種のようにスーパーバイザーがガリガリ訪問することもないです。それはシステムをシンプルにしているからだと思います。 フランチャイジーは、鶏肉に関しては、厳選した指定の近くの卸店で買っていただく。私たち本部はタレを提供する。それだけなのです。
中西:新業態も開発されているようですね。
名越:はい。鶏専門の焼肉業態「かしわ屋将軍」です。たまたま卸屋さんに「とんでもなく沢山の鶏肉を仕入れているお店が超繁盛店」と聞いて非同じ鶏肉を扱う企業として非常に興味を持ち紹介していただき食事に行きました。本当に簡単なオペレーションでまた「これは凄い!」と10年ぶりに胸が高鳴ってきました。このブランドにも力を入れていきますよ。今後はうまく行っておられる繁盛店をフランチャイズ化するということに注力します。最近では「麺や 五山」も、オペレーションをシンプルにした、いまや人気のラーメン業態でつけ麺専門店でわたしたちの開発ブランドです。私たちは営業支援会社でもあります。売り上げが伸びないときは一緒に改善点を考え続けます。
中西:鶏笑の由来を教えてください。
名越:一生懸命に考えたのではなく、「鶏で幸せを作り、みんなを笑顔にする」と一発で決めたのです。 とくかくシンプルなオペレーションでシンプルに加盟店さんに儲けていただき、そこの社員さんを幸せにしてもらうしかないと心から願っています。
中西:何でも「即行動即決断」と、行動が非常に早いようにお見受けしますが、海外展開も既に視野に入った感じでしょうか。今後の展望を教えてください。
名越:はい。6月27日に台湾で海外一号店がオープンしました。台北のエキナカ店で、繁盛店になっているようです。 これは知人の紹介なのですが、マスターフランチャイズ形式で、地元のマスコミも注目してくれています。 また最近はカナダからも問い合わせがあり、日本に来て食べたら美味かったので、是非カナダのマスターをしたいという申し出もありました。 東南アジアも視野に入れていますが、やっぱり夢はアメリカの大地で100店舗くらい鶏笑の看板で埋めたいです。 私は、鶏はどの国の方でも受け入れていただける食材ですので、世界中の方々が「鶏笑」の唐揚げを召し上がり、美味しさを感じて笑顔で幸せになっていただけるという大きな確信を持っています。
編集後記
試食させていただき、びっくりしたのは、胸肉のジューシーさでした。 鶏笑の名越社長や加盟開発担当者に「本当に美味しいですよ」と前置きいただいていましたが、これだけ美味しいとは思いませんでした。 いただいた一口目が目からウロコ。 ニンニクとショウガの匂いはわかるのですが、秘伝のタレは企業秘密です。 また名越社長の肩に無駄な力が入っていない且つ謙虚な姿勢に、アメリカの夢は実現するんじゃないかと思えてきました。 (記:リカ中西)